九州大学大学院 医学研究院

消化器・総合外科(第二外科)

教授 杉町 圭蔵 

 本学会前会長高倉公朋先生におかれましては,5th Annual Conference of the International Society for Computer Aided Surgery の会長にご就任され,ご同慶の至りに存じます.高倉前会長の国際学会会長就任は,わが国のコンピュータサイエンスが世界をリードし,世界から高い評価を受けていることを示すものと会員一同大変嬉しく存じております.

 さて,私は,この度,高倉先生の後任として日本コンピュータ外科学会の会長を仰せ付かることと相なり,大変光栄に存じております.本学会は,工学系の先生方を中心として発展してきた学会ですが,わが国が世界に最も誇りうる分野であると同時に,21世紀の外科学の発展に主導的な役割を担うものと確信致しております.

 今世紀最後に爆発的に発展を遂げました,内視鏡下外科手術は,患者に優しい,患者の立場に立った外科手術であったことが,全世界に急速に普及していった一番の要因であると考えます.今後とも,私どもは,常にこの患者の視点からみた研究開発をすることを決して忘れてはならないと考えております.

 次世代の外科学においては,さらに低侵襲で,かつ,安全,確実な治療法を開発し,従来の手術効果と同等以上か,ないしは,従来の手術法では困難であったことを可能とするような治療法の開発が要求されています.これらを実現化するためには,緻密に計算された手術計画(シミュレーションシステム)と,これを成功に導くためのナビゲーションシステム,さらに,外科医の意思に忠実に従う,ないしは,外科医の技量をそれ以上に発揮させ,かつ確実に操作できるマイクロロボットハンドないしはマニピュレータの開発や,オーグメンテッドリアリテイの実現が必須と考えます.

 本学会が,医学系と工学系,臨床系と基礎系を連携する学会として,21世紀の外科学を飛躍的に発展させ,素晴らしい未来のために貢献できることを願ってやみません.

 今後とも,皆様の本学会への倍旧のご支援とご助言を賜りますことをお願いし,会員皆様のご研究が益々発展致しますことを祈念致しまして会長就任のご挨拶に代えさせていただきます.