第9回日本コンピュータ外科学会大会長

東京工業大学 小杉 幸夫 

 第9回を迎えたコンピュータ外科学会の平成12年度大会は本年10月30,31日の両日,東京工業大学大岡山キャンパスにおいて開催されましたが,この度編集委員会のご尽力により大会での発表を中心とした本会誌特集号が発刊される運びとなりました.今回の大会も,本学会発足当時より協力関係にあるコンピュータ支援画像診断学会(CADM)との合同開催で,合計200名を超える方々にご参加をいただきました.CADMとの合同企画として実施した特別講演では九州大学大学院の橋爪誠先生に「手術支援ロボットの実際と今後の課題について:ダビンチの使用経験から」と題してご講演いただきました.同じく合同開催の国際シンポジウムでは,ドイツからFahlbusch教授,米国からはDr. MasutaniおよびDr. Kikinis の各先生方をお招きして欧州および米国での研究の状況をお話しいただくとともに4件の英語による一般講演を実施いたしました.

 本会単独のプログラムとして実施した一般演題およびデモストレーションセッションも抄録掲載数59題に及び,各演者の方には短時間での発表をお願いする状況となりました.全ての演題をシリアルで聞くことが困難になりつつあるため,今回は「ビデオセッション」を併設し,一部有志の3分間ビデオをC会場で常時映写する試みも実施しました.また,本年度はミレニアム大会であるのを機に世界的デザイナーの川崎和男教授(名古屋市立大学芸術工学部)のご好意で本学会のロゴマークと,ロゴマークをアレンジした見栄えのするポスターを作成することができました.ロゴマークのデザインは若々しい本学会をイメージしての制作とのことです.

 大会を実施するに当たっては,CADM側大会長の松本徹先生(放射線医学総合研究所)の全面的なご協力と,佐久間一郎実行委員長(東京大学大学院),生田幸士プログラム委員長(名古屋大学大学院)ほか各委員の方々の献身的な協力を得ての,いわば「手作り」の学会開催準備となりました.会場が3箇所に分散しているなど,不都合な点も多々ありましたが,それを乗越え,2日間にわたって実のある議論を行うことができましたのも参加者各位の研究にかける情熱と本会を育てていこうとする御好意の賜物と深く感謝する次第です.

 21世紀に向けて本学会が常に「若さ」を保ちつつ発展し,コンピュータの力をもって診断と治療を融合し,医療の進展に寄与することを願い,この特集号の発刊のご挨拶とさせていただきます.