No.012 ノート型ワークステーションを用いた手術支援システム 山内康司1)、片岡弘之1)、増谷佳孝1)、鈴木真1)、太田裕治1)、 土肥健純1)、都築正和2)、渡辺英寿3)、橋本大定3)、伊関洋4)、 河村弘庸4)、谷川達也4)、高倉公朋4) 1)東京大学工学部精密機械工学科 2)東京大学 3)東京警察病院 4)東京女子医科大学脳神経センター脳神経外科 〒113 東京都文京区本郷7−3−1 電話番号 (03)3812-2111 内線7483 FAX番号 (03)3812-8849


【目的】
我々は従来より、X線CTやMRI断層像等から計算機により臓器の三次元形状モデルを作成し手術を支援する Computer Aided Surgery (CAS) システムを開発しており、術前の手術計画の支援を中心に研究を行ってきた。今回はノート型ワークステーション上で臓器モデルの再構成や三次元表示、各種手術シミュレーション、更には穿刺マニプレータなどの手術機器を制御することのできるソフトウェアを開発した。
【システム構成】
本ソフトウェアはTadpole社製ノートブック型ワークステーションSPARCbook2上で動作する。本ワークステーションはA4サイズ、重さ3kgであり、VGAサイズのカラー液晶ディスプレイを備えている。CTやMRIなどの断層像データはフロッピーディスクや光磁気ディスクを介してワークステーションに格納される。本ソフトウェアは臓器三次元モデルの再構成部と手術支援部からなる。再構成部ではマウスを用いる事で対話的に臓器モデルを作成できる。手術支援部では臓器モデルの様々な三次元表示を行うのみならず、穿刺などの手術シミュレーション、更にはパーソナルコンピュータを介した手術用マニプレータの制御も可能である。
【結論】
従来の三次元画像による手術支援は手術室外に設置された計算機を用いているため、その用途も術前の手術シミュレーションに限られていた。しかしながら近年の計算機技術の急速な進歩により、三次元画像表示のできる高性能の計算機を手軽に手術室に持ち込めるようになった。これにより術者は手術の進行に応じて必要な三次元画像を自由に呼び出して術野と比較できるだけでなく、各種手術機器の制御を三次元画像に基づいて行う事が可能となるわけであり、従来よりも直接かつ積極的な三次元画像の利用方法として外科手術に大きく寄与すると考えられる。