No.014 定位脳手術用Ultrasound Computed Tomography (USCT) システムの開発 波多伸彦、佐々木 元、増谷佳孝、山内康司、鈴木 真、太田裕治、 土肥健純、高倉公朋*、伊関 洋*、川畠弘子*、馬木清隆** 東京大学工学部精密機械工学科、東京女子医科大学脳神経センター脳神経外科*、 アロカ** 〒113東京都文京区本郷7−3−1 電話番号 03-3812-2111 内線7483 FAX番号 03-3812-8849

【はじめに】
超音波誘導定位脳手術において穿刺針の刺入深度は、術前のシミュレーションのみならず、超音波断層像による術中モニタリングによってコントロールされる。しかし、従来の超音波断層像ではプローブを含む平面内の断層像しか得られないため、プローブより離れた画像軸に垂直な断面の画像は獲得不可能であった。このため術者は複数の断層像から、立体的位置関係の把握を行なってきた。

そこで我々は超音波誘導定位脳手術において、超小型超音波プローブを用いて任意の断面の超音波像を得るUltrasound Computed Tomography (USCT) システムの開発を行ってきた。今回はパーソナルコンピュータを用いた簡便な装置により、従来の超音波断層装置では得られなかった画像軸に垂直な断面の画像を短時間で再構成するシステムを開発したのでファントム実験、及び臨床試用と共に報告する。

【システム構成】
本システムはアロカ製超音波プローブ(直径20mm)およびその回転機構、超音波断層装置および画像再構成用パーソナルコンピュータからなる。burr holeから挿入した超音波プローブはプローブ軸を中心に自動的に半回転し、その間に得られた複数の断層像をパーソナルコンピュータに転送する。パーソナルコンピュータはこれらの画像から、プローブ回転軸に垂直な面の断層像を再構成し表示する。
【本システムの特徴】
本システムを用いることにより、定位脳手術においてトラジェクトリに垂直な面の超音波断層像を得ることができる。また、プログラムの変更によって任意断面の断層像の再構成も可能である。

本システムでは既存の超音波断層装置とパーソナルコンピュータを組み合わせることにより、低価格で画像再構成を実現できる。再構成及び表示に要する時間も、術中使用に十分短い。プローブの回転機構には小型モータが用いられており、操作性にも優れている。