No.016 PET三次元立体透過像 国立療養所宮城病院脳神経外科,日本IBM東京基礎研究所1 , 東北大学脳研脳神経外科2         o大槻泰介,宮澤達夫 1,吉田 亮1 ,木村雅彦1 ,吉本高志2 989-22 宮城県亘理郡山元町高瀬字合戦原100  国立療養所宮城病院脳神経外科      tel 0223-37-1131 fax 0223-37-3316


発表要旨

PETで表現される脳の機能的変化を三次元的に把握するためPET画像の立体透過像を作成し,任意方向からの動画として表示しMRI立体像と対比することで多重画像解析をおこなった. 対象は部分てんかん症例11例で,前頭葉てんかん5例,側頭葉てんかん5例,後頭葉てんかん1例,年令は16歳から45歳,男性8例,女性3例である.PET画像はFDG脳グルコース代謝像を用い,IBM 3090, 5080 power station 上で volume rendering method を用いて処理を行なった.MRI立体像は0.5T,3mmスライスで得られたT1,T2,Pd像から作成しPET像と同一画面上に回転シネモードで表示した.PET立体透過像は,二次元スライス画像上で各域値ごとに色と透過度を 設定し interactive に作成することで,了解可能なイメージとなった.三次元像では部分てんかんの局所グルコース低代謝領域の広がりが立体的に表示され,MRI立体像と比較することで解剖学的対応も可能となった.立体像を任意方向からの回転シネ画像として表示することで立体感はより増強され,特に脳底部方向からのイメージは側頭葉における低代謝領域の把握に有用であった.また術前後の脳代謝の変化を比較することも容易となった. 二次元画像上での多重画像解析ではスライス面の一致が方法論上の問題となるが,三次元画像表示ではスライス面に拘束されず対比が可能となる.また機能的変化の領域のひろがりを立体的に把握することが容易であり,病態の把握と手術計画の立案に有用な方法と考えられた.