No.017 医用3次元画像技術の手術支援への応用 3D Imaging for Surgical Operations 荒俣 博 帝人株式会社 システム技術研究所 〒231神奈川県横浜市中区日本大通5-2 アーバンネット横浜ビル9F Tel: 045-661-3323   Fax: 045-661-3334


最近のデジタル画像診断機器の発達により、3次元画像技術を診断、治療へ応用する機会が増加してきている。その要因としては、1)イメージングハードウェア、ソフトウェアの進歩(特に、3D画像処理に適した高速スキャン)、2)3次元画像処理ソフトウェアの進歩、3)イメージング機器における画像処理部分のワークステーション化や画像データの標準化によるオリジナル画像データへのアクセス性向上、4)臨床適用例増加に伴う3D像読影技術や画像データ収集(撮影)手法の確立などが挙げられる。

3次元画像の手術支援への応用には、3次元画像自体の利用と、3次元データを手術目的にあわせて加工利用するものに大別される。最近の前者の例では、前述の高速スキャンCTを利用した頭部や腹部における3DCTアンギオグラフィ、定位脳手術等をターゲットとしたMPR(任意断層再構成)上での計測、Squid装置からの情報をMRI脳表3次元像への重ね合わせによる機能情報のマッピング、SPECT装置からの機能情報のMRI/CT情報へのマッピングなどがある。後者の例では、各種撮影装置から得られた3次元画像データ上での手術シミュレーション、光硬化樹脂等による実体モデルの作成とその利用などがあり、撮影情報とシミュレーション、術中の行為の関連付けとその精度が問題となっている。

今後の課題としては、1)3次元画像データ収集プロトコルをその利用目的に併せて確立し、そのうえで読影診断、利用技術の蓄積、標準化を行っていくことが必要、2)これらの技術の普及を目指すためには、臨床科主体による画像処理機器購入とそのコスト回収方法の確立が必要である。