No.023 RADIONUCLIDE SPECTROSCOPY SYSTEMを用いた 局所エネルギースペクトラム解析の MULTI ISOTOPE STUDYへの応用 市原隆 本村信篤 南部恭二郎 (株)東芝那須工場 核医学技術部,CT技術部 〒324栃木県大田原市下石上1385番 (株)東芝那須工場 CT技術部 南部恭二郎 Tel.0287-26-6203 Fax.0287-26-6485


[はじめに]
近年頭部SPECTイメージングでは血流, 代謝, 神経伝達機能などを描出するために特化した放射性医薬品の開発が進み, 欧米ではすでに臨床応用されている. 機能検査を短時間に定量的におこなうためには, これら異なる核種で標識された複数の試薬の同時投与による検査が最適であるが, 従来のエネルギーウィンドウ法では核種を完全に分別することができなかった. そこでスペクトラム分析による核種の分離を試みた.
[方法]
頭部ファントムにTc-99m, I-123混合液を入れ, さらに吸収マップを計測するトランスミッションCT用の外部線源としてTl-201を用いて, 3核種同時収集, 画像分離試験を行なった. Tc-99mは血流測定, I-123はドーパミンの測定をそれぞれ想定したもので, ファントムの各チェンバごとに両者の混合比を変えた. SPECT専用機GCA-9300A/HGを用い, 投影像の画素毎のエネルギースペクトラムを収集する機能(エネルギーリストモード収集)で撮影した. 得られたスペクトラムを専用ソフトウエアで解析して散乱線やクロストークの影響を排除したのち, それぞれの核種の画像を分離した(radionuclide spectroscopy). さらにTl-201画像(トランスミッションCT画像)を用いて減衰補正を行なった.
[結果, 考察]
Radionuclide spectroscopyによって, Tc-99m, I-123, Tl-201の3核種同時収集データから散乱線を除去し, 各核種の画像を完全に分離することができた. さらにTl-201トランスミッションCT画像を用いて減衰補正をすることにより, Tc-99mとI-123の正確な放射能を表す定量的SPECT画像が得られた.