No.025 側方視型細径内視鏡の脳外科手術への応用 谷川達也、伊関洋、河村弘庸、平 孝臣、川畠弘子、 恩田英明、米谷博志、今村強、高倉公朋、山内康司*、 鈴木真*、土肥健純*、前川康弘**  東京女子医科大学 脳神経センタ− 脳神経外科 東京大学工学部精密機械工学科*、メジカル・サイエンス** 東京女子医科大学 脳神経センタ− 脳神経外科 Tel. 03-3353-8111 ext.26217 Fax. 03-5269-7438


<目的>
脳神経外科手術では、手術用顕微鏡で見ることのできない部位の確認には通常鏡が用いられている。しかしこの方法では鏡の挿入部位の広さや光の入り方によって十分な像を得るのが困難なことが少なくない。今回、血管内視鏡の先端にプリズムを取り付けて偏光することにより、ファイバー自体を曲げずに側方の対象物を捕らえる側視型細径内視鏡を開発し臨床応用したので報告する。<方法>内視鏡の内部構造は、画素数 5500 のイメージガイドと約 500 本のライトガイドで構成され、ファイバーの先端に 90 度偏光用微小プリズムが接合されている。対象物までの焦点距離はファイバー表面から約 3 mm (0.5-5 mm) で、観察範囲は 3.6 mm (1.4-5.2 mm, 視野角 46 度 )である。頭蓋内挿入部の外套は直径 2.4 mmのステンレスパイプである。画像の観察にはファイバースコープ用の TV でモニターするが、液晶カラービューファインダーを用いても画像の劣化はない。症例はくも膜下出血で発症した 74 才女性で、左内頚動脈後交通動脈分岐部動脈瘤に対する急性期手術時に、動脈瘤クリッピング後内頚動脈腹側部の後交通動脈起始部を本ファイバーを用いて観察した。<結果>髄液を吸引除去することのよって動脈壁の微小血管の観察も十分可能であった。本例では内頚動脈外側部の space が狭いため外側からの観察は不十分であったが、内頚動脈と視神経の間から後交通動脈の patency を確認することができた。<結論>側視型細径内視鏡は、脳動脈瘤手術において動脈瘤や親血管の裏側にある perforating artery やクリップ先端部の確認に有用である。