No.026 体積走査型ディスプレイによるX線CT像の3次元表示と操作 亀山 研一、 大富 浩一、 大橋 昭南* 伊関 洋**、 小林 直紀***、 高倉 公朋** 東芝 研究開発センター  東芝 医療技術研究所* 東京女子医科大学脳神経センター 脳神経外科**、神経放射線科*** 210 川崎市川崎区浮島町4ー1   (東芝 研究開発センター 亀山研一) tel.044-288-8028 fax.044-288-8214


目的:
体積走査型ディスプレイを用いて連続CT像を実空間内に3次元表示し、その表示立体像に対してインタラクティブな操作が行えるシステムを開発したので報告する。
方法:
開発した体積走査型ディスプレイでは、高輝度発光ダイオード(LED)をマトリクス状に配置した表示面を上下方向(面に垂直な方向)に移動させるのと同時に、面の位置に対応する断層イメージを連続的に表示する。表示面を高速で動かすと、目の残像効果で各断層イメージがつながって見え、これが3次元像として知覚される。分解能は上下左右方向共1mm、表示領域は約10cm立方である。この型のディスプレイでは、像が表示面走査空間−−実空間中に存在するため、任意の視点から無歪の立体像を観察できること、画像メモリと3次元画素が1対1に対応するため、連続CTデータの直接3次元表示が可能であることなどが特長である。ここではさらに、像に対する実時間操作を可能にするため、画像データの転送に高速busを用い、さらに表示を2値データに限定しデータ量の削減を図った。そのため、X線CT装置で撮ったデータは、予め画像解析を行って臓器ごとに分離・2値化し、ユーザの要求に応じて組み合わせて表示する。なお、操作デバイスとしては、磁気を用いた3次元位置センサーを用いている。
結論:
体積走査型ディスプレイを用い、インタラクティブで現実感のある3次元操作環境が実現された。例えば、3次元位置の指示や臓器の部分削除・移動以外に、放射線の照射域などをシミュレーションで求め、元の像に重ね合わせて表示することなどが可能となった。こうした機能は、実際の外科手術において十分有用であると考えられる。現在、特に脳に対する定位的放射線治療計画を課題としてシステムの評価を行っている。

K.KAMEYAMA, K.OHTOMI, A.OOHASHI, H.ISEKI, N.KOBAYASHI and K.TAKAKURA R & D Center and Medical Engineering Lab.*, Toshiba Corp. Depts. of Neurosurgery** and Neuroradiology***, Neurological Institute, Tokyo Women's Medical College