No.27 早期胃癌切除標本の超音波像による3次元再構築の試み 東京慈恵会医科大学 放射線科  中田典生、宮本幸夫、辻本文雄、多田信平 東京慈恵会医科大学 ME研究室  鈴木直樹 〒105 東京都港区西新橋3-19-18 東京慈恵会医科大学附属病院 放射線科  中田典生 Tel. 03-3433-1111 内腺3365、6 Fax. 03-3435-1922


目的
近年、コンピュータグラフィックスの進歩により医用画像の様々な表示方法が開発され、3次元画像もCT、MRI等に応用されてきた。そこで今回、早期胃癌により、摘出された胃切除標本2例に対し、超音波断層像による3次元再構築像を作成し、病理標本、内視鏡像との比較また3次元画像の表示法について検討したので報告する。
方法、結果
症例2例はいずれも早期胃癌の切除標本を用いた。超音波断層装置はYokogawa MedicalSystem RT-2800 7.5MHz transducerを用い、3次元再構築には Silicon Graphics 社製、Personal Iris 4Dを用いた。2例の標本は、いずれも10〜20%ホルマリン半固定6時間後に脱気水に満たした水槽内で撮像した。 撮像に際しては専用マニピュレータを用い、7.5MHz電子リニア型探触子を1mm間隔で移動した。また胃壁標本より超音波断層像とほぼ同一割面における連続切片を作成し、MassonおよびHE染色の病理スライド標本を作成した。 さらに超音波断層像より同定された腫瘍境界輪郭データをデジタイザによりコンピュ-タグラフィクス作成用の並列処理が可能なUNIXワークステーションに入力し、本研究のために開発した専用プログラムによるワーヤーフレームモデルおよびサーフェスモデルをCRT上にカラー表示させた。
結論
作成した早期胃癌切除標本の超音波像による3次元再構築像は腫瘍の境界、浸潤範囲の客観的評価を可能とし、将来、胃切除標本より得られた今回の手法が、超音波内視鏡を用いた3次元再構築法に応用されれば、術前における術式の検討や、外科手術シュミレーションなどにも応用できるものと期待された。