No.003 Isocenter機構の多関節アーム「ニューロサット」 滝沢貴昭1)・中村勝重2) 1)福山脳血管医学研究所 2)三鷹光器株式会社   広島県福山市沖野上町4−23−18 滝沢貴昭 TEL 0849−31−8650FAX 0849−27−6122

脳神経外科領域のナビゲーターとしては、多関節アームに複数のエンコーダーを組み合せ先端がペンシル型の装置、及び超音波・磁気・光などの発生装置を頭部周辺に置きピンセットや吸引管に複数の位置センサーが取り付けられたアームレスの装置が報告されているが、いずれも現在の処置位置の確認を主目的としている。直接的治療手段として用いる際、仮装先端法などにより処置予定位置を推測し、またそこへ誘導することは可能であるが、ナビゲーター自身には固定性が無く、治療用器具・診断用器具の保持機能も無いため、確実性と簡便性に難が有る。一方、脳神経外科では数十年前から isocenter機構の定位脳手術装置が用いられており最近のコンピューター支援装置にも応用される傾向にあるが、frame−basedであること、各種手術支援コンピューター画像と連動できないことなどが通常の手術に気楽に用いるには抵抗感が強い。しかし頭部が球状であるため、isocenter機構によるアプローチは大変魅力的である。我々はこの両者の利点を組み合せ、コンピュター画像による位置モニター下に正確な手術操作のできる、支援装置「ニューロサット」を開発しているので報告する。

ニューロサットは多関節アーム先端に二つの四分の一円アームと、器具保持機能を有したマイクロドライブを組み合せ、frame−lessのisocenter的アプローチができる。アームはカウンターバランスにて軽く安全に動かせ、関節には固定のための電磁クラッチを備えている。機械的精度は1mm以内である。

臨床的精度向上には、皮膚上の円盤状マーカーよりも再装着可能な外部システムが有用であり、また顕微鏡下ではレーザーガイドを用いfree−handの定位的・ナビゲーター下手術を行っている。現在までに開頭術・穿頭術120症例に応用している。更に将来応用範囲の拡大が期待されるシステムと思われる。