No.005 顔面骨骨折の整復におけるナビゲーションシステムの導入の試み 向田雅司、渡辺英寿*、大久保栄治、大森喜太郎、坂井靖夫、秋月種高 東京警察病院 形成外科、*同 脳神経外科 住所:〒102 東京都千代田区富士見201 東京警察病院 形成外科 電話番号:03263371 FAX番号:03276899


顔面骨骨折の観血的整復を行う場合の問題点として、元の位置までうまく整復出来ないということがある。術中に、変位した骨をどの位置まで戻せばいいのかということに対して、明確かつ客観的な指標がなかったため、術者の”視覚”や”触覚”に、頼らざるを得なかった。そのため、整復が不十分であったり、過剰であったりした。 このことに対して、術中に、適当な位置まで整復されているかどうかを、客観的に示す道具・装置があれば、大変有用である。

そこで我々は、東京警察病院脳外科の渡辺らが考案した、ナビゲーションシステム”ニューロナビゲーター”を用いてみたので、その有用性・問題点を報告する。

ニューロナビゲーターとは、術前のCTの3次元座標値を術野に反映させる手術支援装置である。その構造は、6関節からなるアーム機構とパソコン(PC9801)よりできている。アームの先端は、自由に術野で動かすことができる。各関節には、ポテンシオメーターが付いており、角度に応じた電圧がA/Dコンバーターを介してコンピューターに入力される。この電圧を監視することでアームの先端の位置が計算できる。このようにして得られた先端の座標値は、あらかじめ術前に位置を決めるためのマーカーを置いて撮影をしたCT画像のうちで対応する断面上にカーソルで表示される仕組となっている。

顔面骨骨折の整復において、このニューロナビゲーターを利用したときの利点は、比較的簡便に取り扱うことができる割に、整復位置の確認がある程度正確にできる点にある。 問題点としては、CT画像の処理やアームの構造のため、誤差が生じることが挙げられる。 顔面骨骨折の整復を行なう場合、ニューロナビゲーターのような手術支援システムが、有用である場合が多いと考えられる。