No.006 3次元画像再構成とコンピュータ言語 西村弘美、鈴木明文、安井信之 秋田県立脳血管研究センター 脳神経外科学研究部門 〒010 秋田市秋久保田町6-10 電話 : 0188-33-0115  FAX : 0188-33-2104

【発表要約】

従来、高速のコンピュータが必要とされた3次元画像再構成は、マイクロコンピュータ技術の進歩によってパソコンでも速度面からみて実行可能になってきた。しかし、残念ながら3次元画像再構成用の汎用処理ソフトが無い状況にある。特に大きな問題点としてパソコンに限らず市販の画像処理ソフトの多くは画像1要素に1バイトを割り当てているため画像間の演算(差、変化率)では桁落ちが生じる可能性がある。そのため画像間の演算を実行させるにはユーザー自身が処理プログラムを開発する必要があった。当施設では従来より医療数値情報(脳波、頭蓋内圧)の処理の為に専用のコンピュータ言語 mc (matrix calculator) を開発し実用化している。これは行列演算を普通の代数計算のように実行させる機能を持つ言語とデータ処理環境を提供するソフトである。画像データを行列データと考えると画像間の演算は普通の代数計算と同じプログラムで実行可能となり、特別なプログラムを開発する必要が無い。しかも画像1要素について 12 バイトの倍精度浮動小数点データとして持っているため画像間の演算では桁落ちの心配は少ない。またボリュームデータを保存する領域(1ボクセルあたり2バイト)を設ける機能を新たに追加し3次元上での補間・回転・拡大縮小・平行移動を行ない PET 画像と MRI 画像の合成を普通の代数計算で処理している。パソコンレベルで3次元画像再構成を実行させる場合、大きな問題となるのは演算速度とプログラム量である。本言語では PET 画像間の演算は1秒以内に終了し表示も含めて2〜3秒以内に終了する。3次元画像再構成では処理の内容によるが同一患者の単純な PET-MRI 合成であれば、位置合わせ作業を含めて 30 分以内に終了する。また処理プログラムも数行から多くとも1画面(24行)以内で記述可能である。Macintosh (Apple Computer Inc.) 用の mc を使って処理した体性感覚刺激時の PET-MRI 合成画像を紹介する。本処理に使用した mc は BBS を通じて一般に公開している Freeware である。