顔面(特に外鼻)三次元形態の自動計測・評価システムの開発 三島克章、菅原利夫、森 悦秀、南 克浩 大阪大学歯学部口腔外科学第2講座  〒565 吹田市山田丘1−8   tel: 06-876-5711 (2262)  fax: 06-876-5020


唇顎口蓋裂、顎変形症などの顎顔面領域の手術では、顔面の正確な計測・評価が必須である。しかしながら、これまでに用いられてきた計測方法は、繁雑な手作業が要求されかつ二次元的であるため、術前後の顔面形態や手術法の評価に用いるのは、精度および客観性の問題から困難であった。われわれは、こうした問題を解決するため顔面三次元形態の自動計測・評価システムを開発したので報告する。

歯科用印象材を用いて顔面石膏模型を作製し、これを接触型高精度三次元座標測定装置(TRISTATION CNC、ニコン)の自動計測モードで測定することによって、1mmメッシュの顔面形状ワイヤーフレームモデルを得た。顔面計測上必須である特徴点は、その定義をコンピュータ処理可能な形に再定義しなおしてプログラムを自作し、ワイヤーフレームモデルから自動抽出した。また自動抽出された顔面特徴点の評価法では、従来から用いられてきた特徴点相互の距離および角度計測に加えて、鼻尖および鼻翼部の曲率計測を追加し、顔面曲面の三次元評価をより精密なものにした。

このシステムを用いて健常人138例と片側性唇裂鼻(唇裂に伴う外鼻変形)49例の外鼻形態をそれぞれ計測・評価したところ、従来感覚的に捉えられていた変形の程度を定量的に表すことが可能になった。また、唇裂鼻症例において裂のない反対側(健側)の外鼻形態にも健常人と違いがあることが定量的に示された。