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No.009 2方向血管造影からの血管走行自動抽出 佐々木 元、山内康司、増谷佳孝、鈴木 真、太田裕治、土肥健純、 都築正和*、橋本大定** 東京大学工学部精密機械工学科、*東京大学医学部、**東京警察病院 〒113 東京都文京区本郷7−3−1 電話 03-3812-2111 内線7483   FAX  03-3812-8849

[はじめに]
各種医用画像からの血管の3次元構造の抽出は、診断支援・手術支援において非常に有用かつ不可欠である。CT、MRI等の断層像と比較して、2方向血管造影(バイプレーンアンギオ)は比較的細い血管の像が得られる他、血管構造が画像から推定しやすい等の利点がある。我々は2方向のX線造影像から血管の3次元的な情報を抽出するソフトウェアを開発したので報告する。
[方法]
本研究に限らず2方向画像からの3次元形状の抽出における最大の問題点は2画像間の対応付けである。この問題に関して我々は、コンピュータの出力結果に対し作業者が確認・修正を行う対話的なシステムを開発した[1] が依然作業者の負担は大きく、作業の自動化が課題であった。本研究では原画像として造影剤の流入過程における複数枚の画像を用い、時間的な差分から得た造影剤の流入端点を対応付けることにより、作業の自動化をはかった。計算処理は画像処理部と対応点決定部、3次元データ計算部からなり、画像処理部で造影剤の流入端点を抽出し、それらの2画像間の対応付けを対応点決定部で行い、3次元データ決定部で血管の3次元形状モデルの作成に必要なデータを計算する。
[実験]
本方式を、計算機内で構築した血管モデルに対して2方向造影のシミュレーションを行った画像に適用する実験を行った結果、作業者の負担は軽減され、構造の再構成も良好な結果を得た。
[結語]
2方向造影像からの血管構造再構成に造影剤の流入端点を追跡する手法を導入し、データ自動抽出の可能性を確認した。今後はファントム画像及び生体画像による実験を予定している。
[参考文献]
[1]佐々木他:「2方向血管造影からの血管走行自動抽出の基礎的研究」、コンピュータ外科研究会、第1回研究会論文集、p.11-12 (1992)