ごあいさつ |
|
さて、この度「第28回日本コンピュータ外科学会大会(Japan Society of Computer Aided Surgery)」を2019年11月22日(金)〜24日(日)に、東京大学本郷キャンパス(東京都文京区本郷7-3-1)において開催させていただきます。今回のテーマを「社会実装を勝ち取る!」といたしました。医工連携、産学官連携の重要性が強調される中、依然として医療機器開発の前に立ちはだかる絶壁の名は社会実装です。あまりの高さに絶望して引き返すのではなく、どのように果敢に登り切るのかについて今回は徹底的に意見を交わしたいと考えています。
本学会は、外科学の治療、特に手術支援に関して、コンピュータ医術を基盤にした各種の最先端医療機器やシステムの調査・研究・情報交換を行うことを目的として1992年に発足しました。本学会は、各種医用画像の再構成に基づいた術前診断・手術計画・手術シミュレーション・術中ナビゲーションを可能とする各種診断機器、手術シミュレーター、治療支援ロボットならびに術後回復支援システムのすべての手術プロセスを包含して支援を行うComputer Aided Surgery(CAS)という概念に統括される分野の調査研究・開発・臨床応用を行うことを目的としています。
そのために、本学会には臨床医、医療機器開発の意欲あるアカデミアならびに企業のエンジニア、さらにはregulationの専門家など多彩な業種からなる会員を擁しています。コンピュータ技術の進歩、人工知能(AI)の医療導入の流れ、さらには低侵襲手術に対するニーズの高まりによって、コンピュータ技術の治療分野への応用と導入はますますその重要性を増しています。すでに臨床導入された診断・治療機器も少なくありませんが、さらに洗練された、安全性と有効性の優れた装置・機器の開発のためには、医学的見地ならびに工学的見地のバランスの取れたアプローチが不可欠であります。この点において、本学会の特徴的な会員構成は、理想的な医工連携、産官学連携を可能とする素地を提供できる高いポテンシャルを有していると断言することができます。
本学会に属するコンピュータ外科学を志す若手臨床医や工学者が熱い議論をかわすことを心から楽しみにしています。これがひいてはわが国の医療機器開発の加速につながり、さらなる活性化の原動力となるからです。
第28回日本コンピュータ外科学会大会大会長
東京大学大学院医学系研究科心臓外科学・教授
東京大学医学部附属病院医工連携部・部長
小野 稔
|